大昔の電灯もない時代、闇深い夜から朝が来たことを鳴き声で告げてくれる鶏は、縁起が良い生き物とされ
神事でも扱われてきました。神の使いとも言える鶏ですから、当時は食べることなどできません。

現在、世間一般で認識されているのはスーパーで売っている鳥肉がほとんどだと思いますが
私たちは今でも鶏を「神聖なもの」としてとらえています。
鶏の中でも、現在いる日本鶏(日本固有の品種)は32種類。
これは世界的に見ても数が多いと言えますが、そのうち31種類は種の保存のため天然記念物となっています。
一方で、32種類のうち1種類のみ天然記念物指定を免れた鶏がいます。
それが学術名称「名古屋種」です。この鶏だけは純血種が食用として飼育されています。
昔の尾張地方の品種で、それがやがて「名古屋コーチン」と呼ばれるようになりました。
皆さんも聞き馴染みのある名前かと思いますが「純系名古屋コーチン」は商標登録された名称であり
学術名称は「名古屋種」です。
この「名古屋種」がやがて大阪に入ってきて、人気が出始めると「黄鶏(かしわ)」と呼ばれるようになっていきます。
この「名古屋種」を兵庫県で育てたのが「松風地どり」です。
「名古屋種」を愛知流に言うと、登録商標の「純系名古屋コーチン」であり、兵庫流に言うと「松風地どり」です。
血統は同じであっても、育て方によって全く異なる品質になっていきます。 |